長唄 鶴亀 唄と演奏 2022年3月
四世 杵家彌七
[本調子] 夫れ青陽の春になれば、四季の節会の事始不老門にて日月の、光を君の叡覽にて百官郷相袖をつらね、其の数一億百余人拝をすゝむる万呼の声、一同に拝するその音は天に響きて夥し、庭の砂は金銀の、玉を連ねて敷妙の、五百重の錦や瑠璃の扉、硨磲のゆき桁、瑪瑙の橋、池の汀の鶴亀は、蓬莱山もよろならず、君の恵ぞありがたき、いかに奏聞申すべき事の候奏聞とは何事ぞ毎年の嘉例の如く鶴亀を舞はせられ、其の後月宮殿にて舞楽を奏ぜられうずるにて候兎も角も計らひ候へ亀は万年の齢を経、鶴も千代をや重ぬらん、
[二上がり] 千代の例の数々に、何をひかまし姫小松、齢にたぐふ丹頂の、鶴も羽袖をたをやかに、千代を重ねて舞ひ遊ぶ、みぎりに茂る呉竹のみどりの亀も幾万代も池おに、すめるもやすき君が代を、仰ぎかなでゝ鶴と亀齢をさづけ奉れば君も御感のあまりにや、舞楽を奏じて舞ひ給ふ、
[本調子] 月宮殿の白衣の袂/\、いろ/\妙なる花の袖秋は時雨の紅葉の羽袖、冬は冴え行く雪の袂をひるがへす、薄紫の雲の上人の舞楽の声々に、霓裳羽衣の曲をなせば山河草木国土ゆたかに、千代万代と舞ひ給へば、官人かよてう御輿をはやめ、君の齢も長生殿に/\、還御なるこそ目出度けれ
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